AGA(男性型薄毛症)

毛幹・・2

目安時間 10分

1.皮膚から見える毛幹

1 )表面に見える毛
毛母細胞が分裂して毛包内で毛が作られる過程で毛幹ができ、外側からキューティクル
(毛小皮)、コルテックス(毛皮質)、メデュラ(毛髄質)の 3 層ができます。
2 )キューティクル(毛小皮 hair cuticle)の役目
キューティクルは外部からの刺激、摩擦に耐える強くて丈夫な性質を持ち、薬品やブ
ラッシングなどの刺激から毛を保護し毛に光沢を与え毛髪成分の流出を防いでいます。

2.キューティクル(毛小皮 hair cuticle)の構造

1 )キューティクルの構造
キューティクルは毛の最外側にあり、厚さ 1,000 分の 0.5 mm ほどの無色透明な薄いうろ
こ状になっています。キューティクルは重なり合っていて、外側から見えている部分は 1
枚のキューティクルのほんの一部(20%位)です。
このキューティクルは 1 枚で毛の外周の 2 分の 1~3 分の 1 を包み根元から毛先に向かっ
て扁平のうろこ状に重なり、重なり合っているその間には細胞膜複合体(CMC)があり、
キューティクル細胞同士を接着してきれいな模様(紋理)をしています。
その硬いキューティクルと表面を覆っている脂質(18MEA)で物理的(ブラッシング、
コーミング)、化学的(薬品)などの損傷からコルテックスを保護しています。
硬い毛髪では約 10 枚、柔らかい毛髪では約 3 枚重なり、光を反射して毛髪に光沢を与え
ます。キューティクルはたんぱく質が主成分で、コルテックスのたんぱく質とはシスチン
やリン脂質の含有量などに若干の違いがあります。
毛を引張ると、横方向はコルテックス領域の細胞膜複合体(CMC)でキューティクル同
士が接着されているため縦方向より強度が弱く裂毛、枝毛になりやすくなります。
また、毛髪は水を吸うとキューティクルが開くという現象が起きます。
2 )キューティクルを分ける
1 枚のキューティクルは、長さ 80~100μm(マイクロメートル=1000 分の 1 mm)、厚
さ 0.5~1μm を形成しています。そして成分や性質の違いからエピキューティクル、エキ
ソキューティクル、エンドキューティクルの 3 層に分けられます。
① エピキューティクル(表小皮)
キューティクルの最外層にあり、薄い膜でリン脂質・多糖類などが結合したものです。
薬品に対する防御が強く水は通過しませんが、水蒸気は通過します。
パーマネントウェーブ剤やヘアカラー剤などの薬液の浸透を防ぎますが、硬くもろく物
理的な作用を受けると損傷します。
② エキソキューティクル(外小皮)
キューティクルの中間層にありシスチン含量が多く含まれ、軟質のケラチンからなりま
す。パーマネントウェーブ剤やヘアカラー剤のシスチン結合を切断する薬品の作用を受け
やすい層です。
③ エンドキューティクル(内小皮)
キューティクルの最内層にありシスチン含有量が少ないので、パーマネントウェーブ剤
やヘアカラー剤に対しては強く、タンパク質を侵食する薬品に対しては弱い層になりま
す。キューティクル細胞の死滅した細胞核がみられます。
この分類についていろいろな説があります。

3.細胞膜複合体(CMC;cell membrane complex)

キューティクル(毛小皮)、コルテックス(毛皮質)に存在し、キューティクル細胞同
士、コルテックス細胞同士は細胞膜複合体(CMC)を接着剤として接着しています。この
接着剤の役目を果たし、コルテックス内の水分、栄養、薬剤などの通路ともなっています。
細胞膜複合体(CMC)の構造は 3 層の構造で 2 層のβ(ベータ)層とその間のδ(デル
タ)層からなります。β層は脂質からなり、δ層はシスチンを含まないタンパク質からな
るといわれています。

4.コルテックス(毛皮質⊘hair cortex)

1 )コルテックス
コルテックス(毛皮質)は毛の主成分で毛髪中の 85~90%を占めます。たんぱく質で作
られたフィブリル(ケラチン線維)が束のように集まり互いに網状のように繋がっている
硬い繊維部分と線維と線維の隙間を埋めている比較的軟らかなマトリックス(間充物質)
のふたつに分けられます。コルテックス細胞の間には細胞膜複合体(CMC)があり、コル
テックス細胞同士を接着させています。
2 )コルテックス細胞
コルテックス細胞は主にマクロフィブリルと呼ばれる線維からできており、長径 10μm
(マイクロメートル)、短径 2~6μm(マイクロメートル)と細長い形をしています。
この細胞の中には、マクロフィブリルの他にメラニン顆粒の色素がありこれらの間には
マクロフィブリル間マトリックスがあります。
3 )マクロフィブリルとマクロフィブリル間マトリックス
マクロフィブリルは、数本~数十本のミクロフィブリルが集合してできており、集合し
たミクロフィブリルの間にはミクロフィブリル間マトリックスが詰まっています。
水にぬれると毛髪が柔らかくなるのはマクロフィブリル間マトリックスに水が入り込み
膨らむためです。
4 )ミクロフィブリルとミクロフィブリル間マトリックス
ミクロフィブリルは縦方向に並んだ線維状を形成し弾性の性質を持っています。
ミクロフィブリル間マトリックスは柔らかく丸い状態にあるため、化学作用を受けやす
くなります。
5 )毛髪の弾力としなやかさ
マクロフィブリルにはミクロフィブリルとミクロフィブリル間マトリックスがあり、ミ
クロフィブリルのみで形成されると硬い毛髪になり、逆にミクロフィブリル間マトリック
スのみになると柔らかい毛髪になりダメージを受けやすくなります。
毛髪は、このふたつのバランスが保たれているため弾力性としなやかさを持っています。

5.マトリックス(間充物質 matrix)

コルテックス細胞を構成しているフィブリル(ケラチン繊維)同士の隙間を埋め互いに
接合している物質をいいます。この部分はフィブリルより弱く軟質の短いポリペプタイド
主鎖がランダムコイル状の無定型のケラチンで構成され、フィブリルを固定する働きを持
ち、軟らかく弾力性があります。
シスチン量や塩結合も多いため、化学作用を受けやすくなります。パーマネントウェー
ブ剤はこの部分に作用します。

6.空孔(ボイド)

マトリックスの間にある小さな空気の泡で、細く長いが直径はばらつきがあります。毛
乳頭にある毛母細胞が細胞分裂してコルテックスになるとき、角化して水分を失った後に
できます。吸水・吸着・膨潤などの物理的な現象や化学反応性に重要な部分になります。
○ マトリックスに多く存在している。
○ 太さはいろいろある。
○ 繊維の長さの方向に平行。
○ 孔は細くて長い。

7.フィブリル(ケラチン繊維)の構造

1 )フィブリルの構造
フィブリル(ケラチン繊維)はコルテックス(毛皮質)にあり硬いケラチンからなりフィ
ブリルと混じり合い、その混じり合ったフィブリル(ケラチン繊維)の束がまた何本かに
ねじり合っていき繰り返すため縦方向には強くなります。
その構造は、規則的にらせん状に回転しながら伸びるケラチン分子のα—へリックス構造
のポリペプチド鎖 3 本がさらにねじり合わさり二重らせん構造の原繊維のプロトフィブリ
ル(直径約 2 nm)になり、このプロトフィブリルが 11 本(中心に 2 本、円周上に 9 本)
集まって微小繊維のミクロフィブリル(直径約 8~10 nm)を作り、これが多数集まって巨
大繊維のマクロフィブリル(直径約 0.2~0.6μm 単位:マイクロメートル)になります。
このマクロフィブリルが束になりコルテックス細胞を形成しています。このフィブリル
のケラチンは、3 本のポリペプタイド鎖が集合しているので水素結合の結合力が強く安定
しているため化学作用は受けにくくなります。
伸ばす前のタンパク質分子はα型のらせん状の構造をしており伸ばすことによってらせ
ん構造が壊れβ型の構造になります。(ウィリアム・アストベリーより)
2 )くせ毛(ちぢれ毛)の原因
毛のウェーブ(ちぢれ)は、コルテックス(毛皮質)のコルテックスたんぱく質の違い
によるものです。
外側にオルトコルテックス(o—コルテックス)と内側にパラコルテックス(p—コルテッ
クス)の 2 層が張り合わさっているバイラテラル構造になっています。オルトコルテック
スは親水性で柔らかくシスチンも多く、パラコルテックスは疎水性で硬くシスチンが少な
いです。この 2 層が偏ると不均一な状態のウェーブ(ちぢれ毛)を形成します。

8.メデュラ(毛髄質)

メデュラは毛の中心にあり毛髄顆粒を作り、毛が角化する際空洞になります。