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1

現代人にはビタミンDが不足している。

2007年に米国で報告されてから早くも12年以上が経ちます。

欧米諸国ではビタミンDを積極的に補充する動きが広がっていますが、残念ながら日本ではまだまだ浸透していない状況です。

ビタミンDとはどのような栄養素でしょうか?

ビタミンと呼ばれていますが、その本質はステロイドホルモンです。細胞内の核に直接働くことができる貴重な栄養素の一つがビタミンDです。

ビタミンDは紫外線を浴びることによって、皮膚で作られます。ということは、日光浴をしなければビタミン Dを作ることはできません。

もともと人類は野生動物と同じように屋外で活動していました。しかし現代文明のもとでは、室内空間で過ごす時間が多くなり、皮膚でビタミンDを作る機会が減ってしまいました。

さらに追い討ちをかけるかのように、紫外線を浴びると皮膚ガンになるという医学情報が蔓延し、1980年ごろから現代人の多くが紫外線を避けるようになってしまいました。

これらが現代人にビタミンDが不足している大きな理由です。


2

Ohio大学からのレポートです。
ビタミンDが血管内損傷を予防する働きがあるという内容です。

本研究はナノセンサーという特殊な技術により血管細胞内皮の状態を調べています。その結果、ビタミンD3には、強力な一酸化窒素(NO)産生促進作用があることがわかりました。また、ビタミンD3には酸化ストレスを軽減させる働きがあることも確認されました。

いうまでもなくNOは、平滑筋を弛緩させ血流を維持する働きをしています。したがって、NO産生を増やすことは血管障害を予防することにもなります。
研究では、白人と黒人の血管内皮細胞の違いについても検討していますが、
これらの間には有意差はなかったようです。

本研究は、ビタミンD3の働きを分子レベルで確認した、画期的なものです。
心臓血管疾患の予防のためにもビタミンD摂取を行いたいものです。

Ohio University study shows Vitamin D3 could help heal or prevent cardiovascular damage


3

ビタミンDと動脈硬化性血管病変との関係について調べた論文です。メタアナリシスと呼ばれる手法の研究で、21本の論文を検討し、頚動脈のIntima-media Thickness (IMT)値とビタミンD濃度との関係について検討しています。

ビタミンD欠乏(<20ng/ml)に相当するものが3,777名。
一方コントロールとしてビタミンD濃度が正常範囲にあるものが4,792名でした。血中ビタミンD濃度(ng/ml) によって、以下の様に対象を分けています

1)     < 20  ……. 欠乏
2)     21-29 …… 不足
3)     > 30 ……. 正常

結果です。

  • 欠乏群のIMTは正常群と比較して有意に高値を示した。 (p<0.001)
  • 不足群のIMTは正常群と比較して有意に高値を示した。 (p<0.001)
  • IMT値はビタミンD濃度が低下すると増加する傾向にあった。
  • 頚動脈プラークが形成される割合は欠乏群で37.0% であるのに対して、
    正常群では23.7%であった。
  • ビタミンD欠乏群では、頚動脈プラークができるリスクが正常群と比較して2.29倍あった。 (OR: 2.25; CI: (95%CI: 1.03-5.11 ).

メタアナリシスによる解析ですが、
ビタミンD濃度が低いと、頚動脈の動脈硬化性変化が進むと考えられます。

Lupoli, R. et al.
Impact of Vitamin D deficiency on subclinical carotid atherosclerosis: a pooled analysis of cohort studies.
J. Clin. Endocrinol. Metab.102, 2146–2153 (2017).
PMID:28609831 DOI:10.1210/jc.2017-00342


4

COVID-19患者のビタミンD濃度 ベルギーからの報告

ベルギーからの報告です。COVID-19患者の血中ビタミンD濃度について調べています。Controlとは年齢や性別を同等にした場合のベルギー人での平均的なビタミンD濃度を表しています。186名のCOVID-19患者(男性109名、女性77名)について調べたところ、対照と比較してCOVID-19患者では有意にビタミンD濃度が低いことがわかりました。またビタミンD濃度が、20ng/ml未満のビタミンD欠乏患者の割合は、COVID-19患者では58.6%もあるのに対して、対照では45.2%でした。この傾向は男性に限ってみるとさらに顕著であり、COVID-19患者で67%、対象で49.2%となっていました。ビタミンD欠乏がCOVID-19患者で多いことは否定できない事実であり、今後はビタミンDを補充することがCOVID-19パンデミックを予防する上で重要であると結論づけています。


5

Vit.D濃度と呼吸不全の重症度 アイルランドからの報告

アイルランドからの報告です。年齢40歳以上の、
COVID-19罹患患者33名について、経過を調べています。12名は重症化し、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)となり、
さらに、このうちの4名が亡くなられていますが、8名は回復しています。21名は重症化せずに回復の経過を辿っています。上のグラフは、これらの2つのグループの患者の
血液中のビタミンD濃度の平均値を比べています。ARDSを合併した12名の方が、
明らかにビタミンD濃度が低い傾向がみられます。よく見ると、軽症群でもビタミンD濃度が低いことがわかります。
アイルランドは緯度の高いところに位置しますので
ビタミンD濃度を維持することが難しい国です。冬の期間はビタミンDを摂取することを、国が推奨しているということです。


6

プロビタミンDの年齢変化

ビタミンDは紫外線が皮膚に当たることによって作られます。ビタミンDの原料になる成分は、コレステロールから作られたプロビタミンDです。しかし、このプロビタミンDの表皮内の濃度は、上図のように年齢によって低下してしまいます。これはコレステロールからプロビタミンDを作るために働く酵素の力が弱くなるためと考えられています。80歳になると20歳頃と比較して、ほぼ半分程度にプロビタミンDの濃度が減っていることがわかります。すなわち、高齢になると、同じ時間紫外線を浴びても、十分なビタミンDを作ることができなくなるわけです。このため高齢者では、積極的にビタミンDのサプリメントを摂取する必要があります。出典:Modern Nutrition in Health and Disease
2006 Lippincott Williams & Wilkins
Chap 20: Vitamin D … Michael F. Holic,MD


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サプリメントでビタミンD3を補充する方法

どのくらいの量のビタミンDを摂取すべきなのか?1日あたり、1000 ~ 5000 IU のビタミンD3摂取をお勧めしています。ビタミンD3サプリメントの摂取量には個人差があります。普段から日光浴をしている人、魚を多く食べる人、体型によってもビタミンD摂取量は異なってきます。また脂肪肝など、肝臓の機能に異常があると血中のビタミンD濃度は上昇しにくい傾向があります。理想はクリニックにて血液中のビタミンD濃度を調べてもらうことです。2018年から血中ビタミンD濃度測定が保険適応になりましたので、担当の先生にご相談されてください。自分の血中濃度がわかったら、血中濃度をどのレベルに維持したいのかを決める必要があります。至適濃度の項目でもお伝えしたように、最低でも40 ng/ml以上を目標にすることをお勧めします。過去のデータでは、毎日1000 IUのビタミンD3を摂取すると、血中ビタミンD濃度は約10ng/mlほど上昇しています。ただし、血中ビタミンD濃度の変化は、個人差がありますので、これはおおよその目安にすぎません。

日本人の血中ビタミンD濃度の平均が20~25ng/mlですので、40ng/ml以上にするためには、毎日2000IUのビタミンDを服用する必要があります。大柄な人はもっと必要になるでしょうし、小柄な方は少ない量でも大丈夫かもしれません。

ある一定量を服用したのちにもう一度採血を行い血中濃度の確認をすることが一番安全です。


8

子供の「くる病」が増えている

「くる病」をご存知でしょうか。骨が曲がって、折れやすくなってしまう病気です。ビタミンD不足によって起こります。この病気は、17世紀のイギリスで初めて報告されています。原因も明らかとなり現代では過去の疾病と思われていましたが、上図のように、2015年までの10年間で2.5倍も患者数が増えています。この研究は、赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子先生が行ったものです。
Itoh, M. et al. Vitamin D-Deficient Rickets in Japan.
Glob Pediatric Health 4, 1-5, (2017).これは小児のビタミンDレベルが低下していることが、大きな原因です。この病気を起こさないためには、まずは母親となる女性のビタミンD濃度を適正値に保つ必要があります。


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ビタミンD濃度の分布

当院の外来受診者(約1700名)の血液中ビタミンD濃度の分布が上図です。ビタミンD濃度を表す、25(OH)D3濃度が、30未満であると不足状態と考えられますので、この図からわかるように外来受診者の約8割が不足状態にあります。さらに25(OH)D3濃度が20 ng/ml未満の場合には欠乏状態とされますので、約4割の方が欠乏状態にあると考えられます。至適値と言える40ng/ml以上であった方は、わずかに5%でした。男女別の分布と平均値を表したものが下図です。日に当たる機会が多いのでしょうか、ビタミンD濃度の平均値は男性でやや高い傾向があります。しかし、性別を問わず、ビタミンD濃度の平均値は30ng/ml未満であり、多くの方が不足状態にあることがわかります。


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若年者の血中ビタミンD濃度

上図は韓国の20代の男女の血液中ビタミンD濃度の分布を表しています。ビタミンD濃度である、25(OH)D3濃度が20ng/ml未満であると欠乏状態にあると言えますが、この研究では、男性の65%、女性の80%がビタミンD欠乏にあることが明らかにされています。これは対岸の火事ではありません、日本の若年者でも同じ現象が起きていると考えられます。ビタミンD欠乏は若年者の健康状態を損ねるだけでなく、彼らの子供達の健康リスクも増やすことになります。J. Clin. Endocrinol. Metab. 96, 643–651 (2011).


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2つのビタミンD

食品からビタミンDを補う場合、一体何を食べたら良いのでしょうか。ビタミンDを補充するには、鮭や青魚を食べることが一番効果的です。干し椎茸はどうでしょうか? 残念ながら、椎茸に含まれているビタミンDはD2であり、人間が必要としているビタミンD3とは少し異なる成分となります。サプリメントを選ぶ際にも、ビタミンD3と表示されているものを選ぶようにしましょう。


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ビタミンDの代謝

ビタミンDはステロイドホルモンの仲間ですので、当然のことながら、その原料はコレステロールです。原料であるコレステロールが低値であると、ビタミンD濃度も低下する可能性があります。コレステロールから作られたプロビタミンD3は、皮膚で紫外線の力を借りて、プレビタミンD3を作り出します。さらにプロビタミンDはビタミンD3へと変化してから、肝臓へと運ばれます。肝臓はビタミンD3をカルシジオールまたは25(OH)D3と呼ばれる成分へ変化させます。一般的にビタミンDの血中濃度とは、カルシジオールの濃度のことを指します。カルシジオールは腎臓など様々な細胞によって、活性型ビタミンDと呼ばれるカルシトリオールへと代謝されます。

臨床で注目されるカルシジオールの血中濃度の単位は ng/ml ですが、活性型ビタミンD(カルシトリオール)の単位は、その1000分の1である pg/ml です。このことからも、前駆体であるカルシジオールの濃度を維持することが重要であることがわかります。


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ビタミンDと呼吸器疾患

喫煙環境においたマウスを使った実験で、低ビタミンD状態が、呼吸器に対してどのような影響を及ぼすかを調べています。その結果、ビタミンDが低い状態のマウスでは、呼吸機能が顕著に障害され、気道粘膜内への炎症性細胞の浸潤も多くみられています。また肺胞内洗浄液からもTNF-αなどの炎症関連物質が、対象群よりも多く検出されていました。著者らは、マウスを低ビタミンD状態で喫煙環境に被曝すると、呼吸器の炎症が進みやすいと結論づけています。

動物実験の結果とはいえ、これは人間にあてはまると考えても間違いではありmせん。ビタミンDの持つ炎症予防作用については、今後も研究が広がってゆくと思われます。

Vitamin D deficiency exacerbates COPD-like characteristics in the lungs of cigarette smoke-exposed mice.
Respir Res. 2015 Sep 16;16(1):110.


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母乳のビタミンD 濃度

母乳で子供を育てたい。親として自然な思いであり、誰しもその方が子どもの成長にとっても有益なことだと考えると思います。しかし残念なことに、実際は母乳だけで育てられた子どものビタミンD濃度が極端に低いことが報告されています。順天堂大学小児科の中野聡医師らの報告によれば、母乳栄養群(28例)と調整乳(牛乳や豆乳に糖質・ビタミン・ミネラルなどを添加したもの)を使用する調整/混合栄養群(21例)に分けて血清25OHD値を解析したところ、上図のように、母乳栄養群では、調整/混合栄養群と比較して、有意に血清25(OH)D3値が低く、ビタミンD欠乏状態にある乳児が多かったことがわかりました。

原因は明白です。母乳中のビタミンD濃度は母体のビタミンD濃度によって決まります。妊娠可能年齢の女性の血中ビタミンD濃度が低くなっていることが、乳児のビタミンD欠乏状態を招いているわけです。

日経メディカル 2017/09/06 より-------------------------------------------------
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ビタミンDの働き

ビタミンDは、ホルモンの一種とも言えます。その働きは、カルシウム代謝の調整から始まり、ほぼ全ての身体機能に関わりがあります。このように重要な栄養素であるビタミンDについて、残念ながら日本ではあまり詳しく理解されていないようです。その重要性について是非ご理解ください。ビタミンDの働きを下にまとめました。

  • Ca代謝の正常化
  • 骨、歯、筋肉の健康
  • 免疫力増強
    • ガン、感染症、自己免疫疾患などの予防
  • 動脈硬化・心臓疾患の予防
  • 糖尿病予防
  • 精神疾患 鬱病・SAD 予防
  • 脳神経:認知症予防
  • 筋力低下予防
  • 死亡率低下・アンチエイジング
  • ------------------------------------

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ビタミンD 換算式

ビタミンDのサプリメントを服用するときに、必ず内容量の確認をすると思います。しかし製品によってビタミンDの容量の単位の表記が異なります。これはなかなか悩ましい問題で、困る方も多いと思います。単位で使用されるものには、IU(国際単位の略)とμg(マイクログラム)があります。それぞれの換算式を上図にまとめました。困った時には活用ください。一方、血中25(OH)D濃度については、以下のようになります


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ビタミンD 濃度の至適値は

血液中のビタミンD濃度は、25(OH)D3濃度によって判定します。どのくらいの値が至適値であるかについては、諸説があります。文献上では、20 ng/mlに満たないと欠乏状態、30 ng/ml未満では不足状態とする考え方が一般的だと思います。それでは至適値はどのくらいの範囲になるのでしょうか。上図の至適値は、ビタミンD欠乏論を唱えたHolick博士らの意見に基づいたものです。当院でも、この考えに基づいてアドバイスを行なっています。
25(OH)D3濃度として40~80 ng/ml摂取するビタミンDの量は、普段のライフスタイルや体型、肝機能の状態などいくつかのファクターによって左右されます。

自分のビタミン D濃度がどの程度であるのか、一度は血液検査を受けてみることをお勧めします。


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ビタミンDと人類の進化

数万年前の我々人類の祖先は、上図のように戸外を散歩していたと思われます。いうまでもなく日光をたくさん浴びていたことでしょう。人類の起源はアフリカにあることが知られています。そこから人類の大移動が始まり、各大陸に定住したと考えられています。人類が北に行けば行くほど皮膚の色が白くなって行きます。ここで一つの仮説があります。緯度が高いほど、肌の色が白い人類が生息しやすかった理由として、ビタミンDの血中レベルを維持できたためではないかと考えられています。

生物の進化の過程では、必ずアルビノ変種(白子)が生まれます。それによって様々は皮膚の色の人類が誕生した可能性があります。

さらに人類の移動に伴い、皮膚の色が白っぽい方が、緯度の高い地域では生存率が高かった可能性が指摘されています。それは、血液中のビタミンD濃度を高く維持することができたからです。

適者生存の法則。まさに人類の皮膚の色と居住地域との関係の背景にはビタミンDの存在があったのかもしれません。


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ビタミンDと乳がん

本研究ではビタミンDが、乳がんの発症を抑制することができるか否かについて調べています。対象は、35~74歳の女性(平均約55歳)。この対象は、姉妹は乳がんを罹患しているが、自分自身は乳がんの既往が無いという条件で集められています。
5年間の調査期間中に、乳がんを発症した症例は1,611名いました。このうちの1600名について血液中の25(OH)D3を測定し、濃度順に4群に分けています。

その結果、ビタミンD濃度が最も高いGroup 4は、最も低いGroup1と比較して乳がんを発症するケースが、21%少なくなっています。さらに、閉経後の女性に絞ると、28%の減少が認められました。

この研究の価値のあるところは、血中のビタミンD濃度によって乳がんのリスクを解析したことです。日本人女性の平均ビタミンD血中濃度は、Group1のレベルです。本研究の結果に基づけば、Group 4までビタミンDレベルを上昇させないと乳がんのリスクを減らすことができないことになります。

Serum Vitamin D and Risk of Breast Cancer within Five Years.
Environ. Health Perspect.125, 077004 (2017).


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ビタミンDとダイエット

更年期後の女性を対象に減量+ビタミンD補給で炎症性メディエーターがどのように変化するかを調べています。対象は、BMIが25以上、ビタミンDの状態として、血中25(OH)D3濃度<32 ng/mlの条件を満たす 218名の更年期後の女性。
以下の2群に分けて、RCTを行い、12ヶ月後の変化を比較しています。1) 減量プログラム+ビタミンD 2000 IU/day(D群)
2) 減量プログラム+プラセボ (P群)

炎症性メディエーターとして以下の項目を調べています。
adiponectin, leptin, TNFα, IL6, IL1β, IL8, and IL10。

その結果です。D群でかつ体重が試験開始前より5~10%減少した場合には 、P群の中で体重が変化しなかった場合や増加した対象と比較して有意にIL6が減少していました。(-37.3%, p<0.004) そのほかの炎症性メディエーターの変化は認められませんでした。

本研究のポイントは減量だけでなく、ビタミンDを増やすことが炎症性メディエーターを減らすために、重要ながファクターであるということです。

更年期以降の女性では、内臓脂肪の増加により、発ガン率や心臓血管疾患の発症率が増えることが懸念されます。体重減少は必須の治療ですが、これだけでは十分とは言えないことが、本研究の成果から言えそうです。これからは体重減少+ビタミンD補充をアドバイスすることが疾病予防には効果的と言えます。

Effect of Vitamin D3 Supplementation in Combination with Weight Loss on Inflammatory Biomarkers in Postmenopausal Women: A Randomized Controlled Trial.
Cancer Prev Res (Phila). 2015 Jul;8(7):628-35.
doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-14-0449. Epub 2015 Apr 23.


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ビタミンDで肺がん予防

ビタミンDが肺ガン予防として有効であるというメタアナリシスです。動物実験ではビタミンDが肺ガンの転移を抑制するというデータが出ていますが人間の肺ガンをビタミンDが予防できるか否かについては結論が出ていません。そこで本研究では、12本の論文を精査しており、合計約288,000名の患者について検討しています。

その結果、ビタミンDレベルが高い場合には有意に肺ガンのリスクが減少していたということです。(16%減少, p<0.001)

対象論文がコホート研究なので結論には一定の限界がありますが人間の肺ガンについてはビタミンDで予防出来る可能性が示唆されます。

Vitamin d and lung cancer risk: a comprehensive review and meta-analysis. Cell Physiol Biochem. 2015;36(1):299-305.


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ビタミンDと副甲状腺ホルモン

副甲状腺ホルモン(PTH)はカルシウム代謝を司る極めて重要なホルモンです。血液中のビタミンD濃度が低下してくると腸管からのカルシウムの吸収が阻害され、結果として血液中のカルシウム不足の原因となります。身体はこの状態を避けようとして、副甲状腺ホルモン濃度を上昇させ、骨に蓄えられているカルシウムを血液中へと引き出します。結果的に骨密度の減少が起きてしまいます。上図は当院の初診患者約500名について、血液中のビタミンD濃度と副甲状腺濃度との関係について調べたものです。ビタミンD濃度が低いほど、副甲状腺ホルモン濃度も低い傾向が見られます。


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ビタミンDの季節変動

ビタミンDは皮膚に紫外線が当たることによって作られます。ということは、血液中のビタミンDの濃度は季節によって変動するだけでなく、1日のうちでも日中に高く、夜に低くなる傾向があります。上図はボストン(米国)、エドモントン(カナダ)、ベルゲン(ノルウェー)に在住する住民について、ビタミンDの原料であるプレビタミンDの血中濃度を一年に渡って調べたものです。3つの都市の中で最も緯度が低いボストンの住人のビタミンD濃度が最も高くなっていることがわかります。またどの都市の住人も12月から2月にかけてが、一年中で最もプレビタミンDが低くなる時期であることがわかります。すなわちこの時期が最も血液中のビタミンD濃度が下がると考えられます。


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ビタミンDと脂肪肝

ビタミンDは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症や病態に深く関与しているとされ、NAFLD患者は血中ビタミンD濃度が低下していることが報告されています。そのため、ビタミンD不足を是正すれば肝脂肪症が改善する可能性があるか否を検証したのがこの論文です。肝脂肪蓄積が多く認められる患者、40例に対してビタミンDを投与し、肝脂肪量の変化を比較検討しています。ビタミンD3 20,000 IUを最初は7日間連続で、その後は週に1回、6カ月後まで投与しました。

対象の年齢は54.9歳、男性が21例、女性19例。BMIは29.5kg/m2、BMI 30kg/m2以上が45%を占め、体脂肪率は32.3%、内臓脂肪スコアは11.4。4週後は全例を追跡できましたが、3カ月後は33例でした。

その結果、4週間のビタミンD投与により、血中25(OH)Dは11.8ng/mLから34.6ng/mLに有意に上昇(P<0.001)、副甲状腺ホルモン(PTH)は41.5pg/mLから34.5pg/lLに有意に低下し(P=0.002)、CAPは329.8dB/mから310.8dB/mに有意に下がっていました(P=0.012)。なお、BMI、体脂肪率、ALT、ASTなどでは有意な変動が認められませんでした。

これらの結果から、ビタミンD濃度を上昇させることは、脂肪肝患者の肝脂肪量を減少させる効果があると考えられます。

J Gastrointestin Liver Dis. 2016 Jun;25(2):175-81.

注:CAP:(controlled attenuation parameter)肝脂肪量の非侵襲的な評価指標


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ビタミンDと術後感染

術前のビタミンD濃度が低いと、外科手術後の感染症が起きやすいという、極めて興味深い研究報告です。対照は消化器外科手術患者770名。2007.01.01〜2011.12.31までの期間について調べています。その結果、ビタミンD濃度を示す25(OH)D3の血中濃度が、30 ng/ml 未満の症例では、術後の院内感染を起こす確率が、血中濃度の高い群と比較して3倍も高いことがわかりました。すなわち、ビタミンD濃度がある一定値を下回っていると、院内感染を起こしやすくなるということです。同様の傾向は、術後の創部感染についてもみられています。

この研究はコホート研究といって、過去のカルテにあるデータと起きた現象を比較したものであり、いわば状況証拠のようなものです。術前にビタミンD濃度を上げておくと実際に術後感染症を予防できるか否かについては、二重盲検法による臨床試験を行わないと結論を出すことはできません。

しかし、状況証拠を見る限りにおいては、ビタミンDを30 ng/ml以上に上げておいた方が、感染予防という点ではメリットがありそうです。

Association Between Preoperative 25-Hydroxyvitamin D Level and Hospital-Acquired Infections Following Roux-en-Y Gastric Bypass Surgery.

JAMA Surg. 2014 Feb 1;149(2):112-8.


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